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すいません。この文章の表題とこれからかこうとしている話はなんにも関係ありません。いやね、こういうタイトルをつけるとついフラフラとみにくるひとがいるかもしれないなあとおもってね、つけてみたんだけど、そんな話はしません。ていうか、できません。わしにレンアイなんてかたれるわけないじゃないですかっ。レンアイはかたれませんが、ええと、ヘンタイならたしょうかたれます。とつぜんですが、おもいついたんで、ヘンタイの話をします。あのね、けっこうまえなんだけど、自称自然主義者っていうひとと、あと何人かで飲酒したのね。社会的地位のあるりっぱな職業についてるひとなんだけど、もう奥さんもいるし、子供もふたりいるのね。そのひとが酒をのみながら、ボクは自然主義者なんだ、っていうわけ。なにが自然主義者なのかってよくよく話をきいてみたら、家のなかでしょっちゅうハダカですごしてるっていうのね。フロにはいったあととかはもう、スッパダカのまま家のなかをウロウロして、全身がうつるカガミがあるんだけど、それにみずからのスガタをうつして陶酔してるとかいうのね。それが自然主義だっていうわけ。家族にはいやがられるけど、でもボクは自然主義者だからしょうがないんだ、とかいうわけ。いったいそれのどこが自然主義なんだよおとかおれはおもったんだけど、なんかおかしいからそのまま話をきいてやったのね。そんで、そのひとがいうには、さいきんはもう家のなかじゃ満足できなくなってきて、スッパダカのまんまオモテにでて、まちなかをウロウロしてるっていうわけよ。もちろん昼間だとひとにみられちゃうから、夜中の二時とかそれくらいなんだけど、スッパダカでまちにでてくっていうわけ。おれたちもはじめはへらへらわらってきいてたんだけど、話がそこまでくると「ナニ?」ってかんじになって、身をのりだして話をきいたんだけど、あのね、そのひとはマンションの四階だかそれくらいにすんでるのね。そんで、はじめは玄関のドアをあけて五歩くらいオモテをあるいて、あわててもどってくるっていうのをくりかえしてたらしいの。夜中に。スッパダカで。これがやってみると、すごいスリルがあって、だんだんトリコになってっちゃって、五歩が十歩になり、エレベーターまでいくようになり、とうとうエレベーターから下界まで進出するようになっちゃったんだって。これがあまりにもコーフンするんでもうやめらんない、っていうわけ。そりゃ自然主義者というよりただのヘンタイだよ、とおれはいってやりたかったんだけど、そういっちゃうと気ぶん害しそうだからだまってたんだけどね。そんで、深夜のラタイ散歩がヤミツキになっちゃって、散歩中にむこうから人影がみえたりするとササ〜っとよそさまの家の植え込みにかくれたりとか、そういうことをくりかえしてたんだって。あ、そのひとの家っていうのは住宅街にあるのね。住宅街のなかのマンションなのね。で、そうやって住宅街を裸体でフラフラさまよってたある晩、まえからクルマがきちゃったんだって。ところがその道はまっすぐ一本道で、右も左も家々のカベがならんでるだけで、かくれるところがないんだって。さすがの自然主義者もこれにはびびって、だってほら、クルマってライトをてらしてはしるから、ハダカだったらぜったいバレちゃうだろ、そんで進退キワまってあせってたら、すぐそこの家の駐車場のシャッターがあいてたんだって。あすこにかくれるしかないってかんがえて、はしってなかにはいりこもうとしたんだんだけど、なかにはメルセデスベンツがとまってて、もう、左右ぴったりのハバなんだって。どうやってクルマからおりるのかフシギになるくらい、ベンツがなかをフサいでる格好になってて、あしをフミいれるスキマがないんだってね。そうこうする間にもむこうからクルマのライトはちかづいてくるし、しょうがないってんで、エイヤっとばかりにベンツのボンネットにはりついて、うん、すっぱだかのまんまね、こう、うつぶせにぺた〜っとボンネットにハリついて、そうやってやりすごしたんだって。そんでクルマがとおりすぎてから、おそるおそるベンツからおりて、ボンネットをみやると、じぶんのカラダの跡がくっきりとのこってるんだって。アブラ汗かいたからなのかどうか、じぶんのカラダの跡がのこってるのが街灯のアカリでもはっきりとわかるんだって。ちゃんとポコチンもフグリもそのカタチにのこってるんだって。「あのクルマのもちぬしは、あとでアレをみてどうおもったのかなあ、びっくりしたろうなあ。‥‥ま、そういうことだから、キミたちも、家の駐車場のシャッターはとじといたほうがいいよ、うん。」とかなんとかその自称自然主義がわけのわかんないまとめかたをして「おまえそういう問題じゃないだろう?」とかおれはよっぽどいってやりたかったんだけど、なにしろ相手はヘンタイだから、さからってもしょうがないんで、それでその話はおわっちゃったんだけどね。ええと、そんなわけなので夜道にはわりと予想外の危険があったりもしますのでおたがい気をつけましょうということで、この話はおわり。恋愛のカタチというより、ボンネットにのこったヘンタイのカタチの話でした。
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