とり  YOU ARE WHAT YOU IS


 もうずいぶんまえの話になるんだけど、そのとき仲よくしていた女の子がニコニコしながらおれのまえにあらわれた。どうしたの、とたずねると、ゲームセンターで、彼女とおれの相性診断というのをしたら、すごくいい結果がでたんだという。彼女はその診断書というのをもってきていて、おれにみせてくれた。たしかに素晴らしいことがかかれてる。ふたりの相性は最高、理想的なカップルで、将来も完璧。もう、いますぐ結婚したくなってしまうような内容である。ところがそこで、なにかがおかしいことにおれは気づいた。なにがおかしいんだろう? もう一度診断書をながめなおして、おれはがくぜんとした。血液型がちがっている。おれはAB型だが、その診断書にはA型とうちこまれてる。しかも彼女は、それがまちがってることに全然気づいていない。どうやら彼女はおれがA型だとおもいこんでいて、相性診断でもそう入力したらしい。おれはこまってしまった。彼女はこころからよろこんでいて、だからいまさら「あのね、もうしわけないんだけど、血液型がね、あのね‥‥」なんていいだせる状況ではないし、かといって、血液型というのがひじょうにフキツである。たとえば彼女と一緒に道バタをあるいてたらいきなりおれのアタマに鉄骨がふってきて、意識不明の重体で病院にかつぎこまれて、「いますぐ輸血しなければっ、このひとの血液型はっ?」と看護婦さんにたずねられたとき、おれのベッドのよこで「A型ですっ」と元気にこたえる彼女というのを想像したりして、そういうわけでそれいらい、その子とであるいてるときはおれはこわくてしかたなかった。ふつう女の子というのは男の子にやすらぎをあたえてくれるものだけど、彼女のばあいは、一日いっしょにすごしているだけでグッタリとつかれてしまうのだった。ということなのでみなさん、名前や生年月日は基本的にどうでもいいですから、コイビトの血液型だけはちゃんと把握しておきましょう。あと、この話の表題と本文は関係ないです。かんがえるのがめんどくさったんで、ただたんにいまきいてる音楽を表題にしただけ。それだけですすまん。

[21,11,1999]