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押し入れのなかをがさがさと探索していたら「モノレポート」という小冊子の第3号がでてきました。昭和63年12月31日の発行になっています。発行人は「金の骰子の会」。これは、そのころなかまうちで遊んでいたモノポリーの結果についてまとめた冊子です。20回のゲームを1期として、第1期から第6期までの通算の結果がまとめられています。そこには、通算120回におよぶモノポリーにおける主なプレイヤーの勝数、勝率、敗数、敗率、勝越し数、勝敗無関与数、勝敗無関与率、最多勝者回数、最高勝率者回数、最少勝者回数、最低勝率者回数、最多敗者回数、最高敗率者回数、最少敗者回数、最低敗率者回数、またそのたの記録として、通算勝数1位、通算勝率1位、通算勝数最下位、通算勝率最下位、通算敗数1位、通算敗率1位、通算敗数最下位、通算敗率最下位が記載されています。そういうことが、ほんとうにちまちまと書かれています。そしてつぎのページには、1期から6期までの成績がみやすく表になってまとめられています。さらにページをめくると、やっと楽しい読みものがでてきます。この号に掲載された記事のタイトルだけ紹介します。「弱いぜ、コイちゃん」「一匹狼が死ぬ時」「魔人なんか、怖くない」「来た、念じた、勝った」「赤は血の色、弱い色」「涙のパークプレイス」「地中海通りに原発を!」です。そういうタイトルのもとに、モノポリーに関するさまざまなドラマが回顧されています。とくに、「来た、念じた、勝った」という記事はなかなか読みごたえがある。これは、筆者がモノポリーの他流試合を行って楽勝をおさめてきたという報告なのですが、じつに興味ぶかい内容が語られています。けっきょく、モノポリーというゲームは、いろいろな作戦や取り引きははたしかに存在しますが、でも、けっきょくはサイコロの勝負です。じぶんやたにんの振るサイコロの目を自在にあやつるプレイヤーがいたら、そのひとには勝てません。そういうわけで、わたしたちのモノポリーはやがて、サイコキネシスの闘いとなっていってしまいました。いわゆる「念力」の勝負です。だれかがサイコロを振るたび、全プレイヤーがそれぞれのおもわくに従って、そのサイコロに念を送ります。全身全霊で、本気で念じます。なんにんかの男たちが輪になって、左右の手のひらをひろげあって、コメカミにすじをたてて念じあっているのは、ハタからみたら異様な光景ではあったと思います。わたしたちがモノポリー念力勝負をしているところを「幻魔大戦」と評したひともいます。たしかに、いちど、勝負が白熱して全プレイヤーが念じあっていたら、棚のうえの花びんがびしっと割れてしまったこともありました。モノポリーとは、そういうゲームであるとわたしたちは認識しています。そのようにしてふだんから念を鍛えていたわたしたちだから、他流試合で楽勝してしまうのも、あたりまえである気はします。なにしろ、その他流試合では、だれかがサイコロを振るときに、だれも念じないというのです。筆者の念じ放題なのだそうです。だから、サイコロもほとんどかれが念じた通りの目がでてしまう。それじゃ勝つのはあたりまえだ。おしまいになって、一緒に遊んでいたひとが、こうぼやいたそうです。「まいったなあ、かれのいったとおりにサイコロがでちゃうんだもんなあ。」それに対する筆者の怒りの言葉でこの記事は閉じられています。「いった通りにサイコロがでているわけではない。念じた通りにでているのだ。だいたいおめえら、念じもしないで、どうやって勝つつもりなんだ?」ううむ。じつにがんちくの深い言葉だと思います。というふうに楽しい「モノレポート」ですがこれはすべて、たったひとりのひとの手によってつくられています。記録の計算も作文も編集も発行も、すべてひとりでおこなわれました。そういうことをやるのはだれかというと、新屋くんです。あの男は、こういうちまちましたこまかいことをやらせると、その才能をいかんなく発揮します。しかしまあ、かれの発行してくれたこの冊子のおかげで、しばらく、なつかしい気もちになれてしまったことはたしかです。
では今日の最後の言葉。なつかしいひとことだ。いいかな?
「ゾロ目の5!」
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