[1999年12月12日] くるくる
菓子パン。(朝)
とんかつ定食。(昼夜兼用・外食)

●もうずいぶんまえだけど、沖縄出身の女の子とつきあってたことがある。出身地が関係あるのかどうかはわからないが、とにかくかいておく。彼女が中学生のときに「クラスの女の子たちがおかしくなってしまった」ことがあるという。
●「なんかねえ、みんな、いってることがおかしくなっちゃったの。宇宙人と交信してるみたいな、そんなかんじなのよ」
「わらいごとじゃないんだって。ほんとに。しゃべりかたがみんなヘンになっちゃって、うつろな目つきで、にやにやしてるのね。それで、ときどきおかしなことをいうの。みんながそうなのよ。」
「わたしのほかにあとひとりだけ、正気だった子がいて、その子とふたりで先生に相談にいっても、先生はぜんぜんとりあってくれないのよ。」
「そのうちね、みんな放課後にそろってどっかいっちゃうのに気がついたのね。どこにいくんだろうとあとをつけたら、学校の屋上なのよ。そこでみんな、くるくるまわってるの。」
「こわかったわよう。まいにち学校いきたくなくってさあ、でもお母さんに怒られるからかよったけど。」
「それでどうなったかっていうと、二週間くらいしたらなおっちゃった。みんなふつうにもどっちゃって『あれはなんだったの』ってたずねても、だれもおぼえてないの。」
「でも、あたしともうひとりだけ、あのときみんながヘンだったことをしってる子がいて、いまでもふしぎだよねえ、なんて話してる。ほんとに、あれはなんだったんだろう。」
●「それってさあ」おれはひとつ、はじめからたずねたかったんだけど、話のコシをおっちゃわるいからとたずねるのをガマンしていた質問をここで発することにした。「もしかしたら、おかしくなってたのはキミとその子だけだったんじゃないの? クラスのみんなや先生はまともでさ、おかしかったのはキミたちふたりだけだったってことはかんがえられない?」
●もちろん彼女は怒った。とうぜんだ。でも、いまとなってはどちらがまともでどちらがおかしかったのかはわからない。もしかしたらどちらもおかしくなってたのかもしれない。わからない。とりあえず、沖縄のどこかの中学校の屋上で、セーラー服をきた女の子の集団がくるくるまわっているというのは、ステキな図だとおもう。沖縄っていうのはそれまでのおれにとって、宇宙の果てにぶらさがってる豆電球のひとつにしかすぎなかったんだけど、それいらい「あれでなかなかあなどれん」とかんがえてる。
●きょう、山本直樹のマンガをながめてたら、とてもにたような屋上の場面がでてきて、ちょっとびっくりした。それでここにしるしておくことにした。

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