[2001年02月21日] 四重人格
菓子パン(あさ)
すぶた定食(ひる)
野菜炒め。かに。なっとう。めし(ゆう)

「‥‥さ、どれ?」
「う〜ん。1番かなあ。でも3番もすてがたいなあ」
「どっちだよ」
「1番。1番にする」
「1番ね。1番はええと、5点。これでおしまい。じゃちょっと待っててね、いま集計するから」
「わくわく。どんなのかなあ。はやくはやく」
「そうせかすなって。‥‥ええと、できたできた。ぜんぶで38点。てことは、Aタイプだな」
「Aタイプ。どんなことかいてあるの? 読んで読んで」
「うん。読むよ。『Aタイプ。あなたは他人から誤解を受けやすく、いつも損ばかりしています。ほんとのわたしをみて。ほんとのわたしにふれて。あなたはこころのおくそこでそんな気もちをかかえていきています。
「うわ、あたってるう。すごいね、この性格診断。ぴったりだよう。そんで、そんで?」
そんなあなたのこころをいやしてくれるのは、大花火です。多彩なリーチ目から真のビッグボーナスをひいたとき、あなたのほんとうの花火大会がはじまるのです。』」
「‥‥‥あの。ハ、ハナビ大会ってなに?」
「あっ、ごめんごめん、ちがうとこの結果をよんじゃった。これは『ハートにビタ押し。あなたにぴったりなパチスロ台相性度テスト』だった」
「なんだそりゃ」
「ごめんごめん。どれやってたんだっけ? ああこれこれ。38点だから、Bタイプだ」
「Bタイプ。なにかなあ」
「じゃ読むよ。『Bタイプ。あなたはとても傷つきやすい、繊細なこころの持ち主です。あなたにとって、現実の社会はキビしすぎて、くじけそうになってしまうのもしょっちゅうです。
「うをををっ。こっ、こんどのこそぴったりだっ。めちゃくちゃあたってるよ、すごいよこのテスト」
そんなあなたをがっちりとまもってくれる場所、それがアナグマです。そこできっとあなたの王将はほんとうのやすらぎをしるでしょう。』」
「‥‥あの。お、王将って、なにそれ?」
「なにそれっていわれても、ほらあの、いちばんスミッコにおうさまがいっちゃう‥‥あれ? いまやってたのって『あなたにおすすめ将棋戦法診断テスト』じゃなかったっけ?」
「なによおそれええ、ちがうよおお」
「ごめんごめん」
「ごめんじゃないよも〜」
「ほんとわるかったよこんどこそちゃんと確認するから」
「しっかりしてよねえ、もう」
「すまんすまん。ええと、あっ、ここだここ。38点だったよな。これ、Cタイプだ。読むよ」
「うん」
「『Cタイプ。あなたはたいへん素直で正直な人間です。
「ふむふむ」
しかし、あまりに素直すぎて、他人を疑うことを知らないようです。
「なるほど」
そんなあなたですから、人からだまされることもしばしばです。
「たしかに」
むやみに他人を疑うものではありませんが、用心ぶかくあることはけっしていけないことではありません。もうすこし日常生活でも注意をはらっていきましょう。ひとをみたらドロボーとおもえ。性格判断をみたらインチキとおもえ。ね。そういうこと。』」
「へ?」
「どう? あたってる?」
「‥‥」
「ぴったりじゃん、これこそ」
「‥‥つうか、うそでしょ? つくってるでしょ、それ」
「いまごろ気づいたの?」
「へ?」
「もう、とっくにわかってるのかとおもった。にぶいなあ」
「‥‥」
「そんでね。あとDタイプっていうのがあってね。きいといてみる?」
「‥‥うん」
「『Dタイブ。あなたはしょうしょうにぶいところがあるようです。そんなこっては生き馬の目を抜くといわれる現代社会に適応するのが困難です。いっけんそんなふうにはみえるんですが、でも大丈夫。そんなあなたの魅力をわかってくれる男性がいつもそばで見守ってくれてるからです。その男性こそがあなたの人生でかけがえのない宝です。くれぐれも大切にしてください。ぽいう。』」
「‥‥‥」
「だってさ。よかったね」
「けっ」
「あ、なに? 怒ったの? おい、冗談だって、わらってよ、ねえって」
「うるさい。もういい。あっちいけ」

●ってなわけでほんじつの話の表題はザ・フーの涙の傑作「四重人格」です。タイトルからして傑作だぞ「四重人格」。これを十代のころに聴いてなんだかおかしな一時期をすごすことになってしまった青少年はあのころいったいどれほどいたことだろう。フー。すばらしいです。あがめるんだみんな。

沼の目次