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萌えというのはもう基本的に日本全国だれもがしっている言葉なのだと勝手にしんじこんでいるわけだが、いやさすがにおれの親戚の80過ぎてまだハタケやってるバーチャンとかはしるわきゃないだろうけどね、でも基本的にみんなしってる言葉だろうとおもっていたのだがそういうものでもないらしい。せんじつ、平日の午後にファミレスへいったら、奥さん連中がその一角を占拠してしゃべくりあっていた。どうでもいいけどこういう集団はものすごくしょっちゅうみかける。奥さんがたの昼食会というのはそこらじゅうでまいにちあって、さらにファミレスというのはドリンクバーがあるので、あれでお茶をのみつつえんえんとしゃべっているみたいである。主婦というのはいい商売だなあとちょっとうらやましくなったりなんかする。で、せんじつファミレスへいったら三十歳くらいの奥さんがたが五人ほどいて、たぶんもうおひるごはんは終えたのだろう、お茶をしながら仲良くおしゃべりをしていた。
「モエってしってる?」
「え?」
「なになに」
「モエ」
「わたしはしってるけど…」
「しらない。なにそれ」
「そういう言葉があるらしいんだ」
「なんのこと?」
「ダンナがしっててねえ、きいたら、『かわいい』とかそういう意味だっていってた」
「へえ」
「なんかねえ、『モ゛エ〜』っていうんだって、『モ゛エ〜』って」
(注 この『モ゛エ〜』というのはサカリのついた牛の鳴き声のようでした)
「へえ、『モ゛エ〜』、ねえ」
「うん。『モ゛エ〜』。オタクのひとらの間ではものすごくはやってるんだって」
「いや、はやってるんじゃなくてあれはもう定着してるんじゃ…」
「ゴールデンタイムでやっててねえ、なにかわからなくてダンナにきいたらしってた」
「ふうん」
「じゃあウチのダンナもしってるかな」
「ウチはしらなそうだなあ」
「あ、ウチはしってるかも、夜中にアニメとか録画してるから」
「あ、それはきっとご存じですよ…」
「東京に出張したとき秋葉原にかならずよってるし」
「まちがいないです…」
「あれ、なにしてくるのかしらねえ? いつもかならずいってるみたい」
「そういえばデンキ屋っていっつも混んでるよね、ヤマダデンキとか」
「いや、秋葉原はデンキ屋というか…」
「そうそう、みんななにしにきてるのかしらねえ」
(以下、萌えの話題は終わってデンキ屋の話題へ)
というわけで、無作為に抽出した茨城県南地方の主婦五名でたしかめたところ、萌えをきちんと理解してるらしいひとはひとり(たぶんあのひとだけは完璧にわかってたとおもう)で、つまり20%しか浸透しておりませんでした。
諸君、われわれはまだ努力が足りんぞ。
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