とり  ユカイ君

「なな、クリタ、英語でスカってなんていうか、しってる?」
「スカ?」
「そう、スカ。ほら、ハズレとかさ、ダメとか、そういう意味。」
「なんでそんなのしりたいの?」
「いやこんどさあ、社員旅行で、オーストラリアいくことになってさ。」
「それとスカとなんの関係があるの?」
「ほら、海外って、スリとか強盗とかがおおいっていうだろ?」
「うん。」
「だからさ、ダミーの財布をいっぱいもっていこうとおもうんだよ。」
「なんで?」
「スラれてもいいようにきまってるだろ。中身がカラッポの財布をわざとズボンのポケットとか上着の胸ポケットとかあちこちにいれといて、カンジンの本物の財布はどっか、べつなとこにかくしとくわけだよ。」
「ああなるほど。」
「でもさあ、ただカラッポっていうのもつまんないだろ? だから、なかに「スカ」ってかいた紙きれを一枚、いれとこうとおもうんだ。なんにもしらずにダミーの財布をスリとったスリが、シメシメとわらいながら財布をあける。するとそこからでてきたのは「スカ」ってかかれた紙きれがただ一枚。はっはっは、その姿を想像するともう、わらいがとまらなくってさあ、いまからスラれるのがたのしみでしょうがないんだよ、わっはっはっはっは。」
「‥‥。」
「だから、おしえてくれよ、スカって英語でなんていうんだ?」
「‥‥ていうか、おれ、おまえのアタマのなかのほうがよっぽどスカだとおもうけど。」
「‥‥。」
「‥‥。」

[09,11,1999]