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きょねんのいまごろ成田空港のちかくのホテルでひるごはんをたべたときに、帽子をおきわすれてきてしまった。事情があってすぐにはとりにいかれなくて、けっきょくホテルを再訪したのは十日もすぎてからだった。まだあるかなあ、と半信半疑でレストランにむかい、エプロン姿のウエイトレスの女の子にたずねると、
「あ、あの帽子ですか、あれはその‥」
とくちごもる。どうしたんだろうといぶかるおれに、彼女がしめしたのは、カウンターのうえのくまのぬいぐるみだった。ちょうどクリスマス・シーズンで、サンタクロースの衣装をきこんだくまが、おれの帽子をかぶっていた。
「とりにもどられるかどうかもわからなかったので、ここにおいちゃったんです。ごめんなさい。」
そうあやまるウエイトレスさんにおれは恐縮した。あやまるなんてとんでもない。迷惑をかけたのはおれのほうである。ウエイトレスさんとくまさんに「どうもありがとう。」と礼をいって帽子をうけとり、それからおれはくまさんに似合いそうなサンタの帽子をさがすために街へむかった。
メリー・クリスマス。
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