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そんなこんなでおれと沖山はふたりして毎晩イレグイディスコにくりだしてけっこういいメをみてたのね。だけどだれでもそういういいメをいっぱいみられるかというとそういうわけじゃなくてさ。やっぱり才能ってのがあるわけよ。沖山ってのがもう、女の子をたらしこむのがものすごくうまくてさ。おれなんかはほら、内気だからさ、ナンパなんてとてもできないんだけど、沖山が調達してきちゃうのよ。おれのぶんもふくめてね。まあだいたい女の子ひとりで来てるのなんていなくて、女ふたりできてるのに声をかけるわけだけどさ、声をかけるまえに品定めなんかもしちゃったりしてね、おれたちもうすっかり色ゴト師の気ぶんだったからさ。そんで、まあなかにはモロにヤラレにきてるみたいな女の子もいてさ、そういうのに声をかけちゃえば話ははやいんだけど、なかなかそうはいないし、そもそもそういうのってつまんないわけ。やっぱりね、ヤラレにきたわけじゃない女の子をやっちゃうのがダイゴミなわけよ。ヤラレにきたわけじゃないっつってもさ、基本的に女の子ってそうとこに来るさい、なんつうの、新しいデアイみたいなものを待ってるのがけっこう多いとおもうんだな。女の子ってさ、なんだかんだいって、ナンパされるのがすきなのよ、声かけてきた男にほいほいついてっちゃうかどうかはベツとして。そんでねらいメなのはおれおもうにやっぱしイナカの高校生とかなのね。新宿のディスコとかってさ、シウマツの夜なんかもう、いくとこいけばイナカの高校生とか専門学校生とか看護婦みならいとかそんなのばっかしなわけ。そういう女の子ってさ、スレてないっつうか、あまりひとのことを疑うことをしらないわけね。こっちもなれてくるとそういう女の子をみわけられるようになって、きてるもののセンスにどこか無理があるみたいな女の子を品定めして、趣味があったのに声をかけるんだけどさ。でも趣味っつったって、じつはおれにはそんなものはなくってさ、なにしろおれってほらじんるい愛のヤツだからね、たいていの女とやれちゃうからね、というか、けっこうブスってすきだったんだよなおれ。だからおれはけっこうだれでもいい面はあって、そりゃおれだってなるべくならきれいな女の子とやりたいけどさ、できることなら夢みたいにきれいな女の子とやりたいけどさ、まあきれいじゃなくってもかまわんの。だからけっきょく沖山のこのみで声をかけるんだけどね。さっき女の子だってナンパされるのがいやなわけじゃないって書いたけど、もちろんだれだっていいわけじゃないのよ。あたりまえの話だけどさ。相手によるわけ。キタないナリをしてシタゴコロをむきだして声をかけるやつなんて論外だとおもう。かといって、金のクサリとかをじゃらじゃらさせてさ、あんまり遊びなれたふうなのも、かえってまずいとおもう。そういうのって女の子の個人的なこのみの問題だからいちがいにはいえないけど。でもやっぱり、シタゴコロなんかはみじんもなくてさ、女の子に声をかけるのなんてこれがはじめてなんですけどおれってこんなにさわやかで純情なやつなんですけどみたいに声をかけるのがいちばん警戒されなくていいんじゃないかとおれはおもってたのね。まあそんなふうにおれはおれなりにわりと正攻法でやってたんだけど、沖山がね、あのバカがもう、むちゃくちゃなんだよ。そのころの沖山のやりかたというのが、なにをおもったのか、ガイジンのふりして声をかけんのよ。しかもね、それでとおっちゃうの。おれたちが攻めてたディスコの常連の仲間うちでは「ハーフのナポレオン」でとおってたほどなんだ。だれもうたがってなかった。もちろん沖山は日本人なのね。茨城県稲敷郡河内村の農家のオンツァマなの。ヒャクショーよヒャクショー。これが女の子のまえにいくとフランス人のお母さんの私生児になっちゃうわけね。そんなバカな話があるわけないっておもうかもしれないけど、このウソがばれたことなんていちどもなかったね。ほんとほんと。けっこう人気者だったりしたほどなんだ。「ワタシニホンゴヨクワカラナイ〜」とか沖山がいうと女の子がきゃっきゃいってよろこんじゃったりとかさ。それどころか、一回なんかあれだよ、たしか熊本県かどっかから遊びにきてた美容師だとおもったけど、やってるさいちゅうに沖山のインモ〜をみて感心しながらいうわけ。「髪の毛は金色なのにこっちの毛は黒いんだねえ、へええ」って。おれはもうアタマがズキズキしたよ。まあどうせ二度とあうことはないんだし、やっちゃえばこっちの勝ちなんだからどうだっていいんだけどさ。そんなふうにセックス三昧してて、またおれなんかお調子ものだからたまに茨城に帰ってそっちの仲間にあったりすると、戦果をとくとくと吹聴しちゃったりしてさ、それを聞きつけたハマノってやつが「おれにもいいメをみさせろ」って沖山のアパートにのりこんできたことがあったのね。いいわすれてたけど沖山のアパートっていうのは歌舞伎町から歩いて20分ばかりのところにあって、沖山とおれはふたりでそこに住んでて、女の子もそこに連れ込んでたんだけどさ。そこにハマノがやってきたわけね。そのときの話が聞くも涙語るも涙の不幸な事故だったんだけど今夜はもういいかげんくたびれちゃったからあとでするや。
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