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つづきをはじめるわけなんだけどさ、ハマノが沖山のアパートに「おれにもヤラせろ」っつって来たとこからだよね。だいたいこのハマノってやつはほんとセックスがすきですきで、高校時代はみんなから「ハメノ」って呼ばれてたくらいでさ、おまけにこいつは勉強ができなかったから地元の大学にはいってくすぶっちゃって、けっきょくいまは飲みややってるけど、東京にこないヤツつうのはだいたい、東京にたいして幻想があるわけよ。ほら、テレビとか雑誌によく東京の女の子がでてきたりするだろ、ちょうどオールナイトフジとかはじまるころでさ、テレビや雑誌なんかには「東京の女子大生」っていうのがちょろちょろでてくるわけね、にこっとかわらっちゃってね、そういうのを眺めながら「こんなのがほんとにいるんだっぺがあ」なんて思ってるわけよ、イバラギなんかの男の子たちは。「花の東京にいけばこういう女の子ばっかしなんだっぺなあ」っておもってるわけ。つまりね、イバラギにとどまっちゃったヤツは、「東京の女の子」っていうのに、もうほんと、幻想っていうかさ、アコガレみたいなものをいだいちゃってるわけ。まあだいたいおれたちっていうのは、知らない土地にすんでる女の子にいろいろアコガレをいだいちゃうもんだけどさ、おれなんかむかしからどうも京都弁を話す女の子に弱いんだけど、そういうのはべつとしてさ、「東京の女の子」っていうのはまたカクベツな存在なわけね。じっさいにセックスしちゃえば東京もイバラキもないんだけど、まあそういうアコガレがあるもんだからね、おまけにおれと沖山がヤリくるってるっていうウワサをききつけてハメノもいてもたってもいられなくなっちゃったんじゃないの。土曜日の夜でさ、おれたちもつねひごろから富は再分配されるべきだとかんがえてたし、なにしろそのころのおれの愛読書っつったら資本論だったかんね、マルクスのおしえはまもりたいとおもってたからさ、だからおれなんかもそういうのはのぞむところだったわけよ。それでまあここはいっぱつハメノにもいいメをみさしてやろうかとばかり3人していつものディスコにくりだしたわけなんだ。そんときはおれも沖山もいつもとキアイがちがっちゃっててさ、ほらいつもだと、ちょっとくらいぶさいくでもだましやすそうな女の子に声をかけるんだけど、おれたちもミノホドつうものはすこしはわきまえてたからさ、だってなんだかんだいったってイバラギのイナカからでてきたばかりの財力もなければアタマもめちゃくちゃわるいし、みぶんといえばただの浪人生だしさ、だからオトナのお姉さんなんてだませっこないわけよ、にじみでてくる知性とか教養とかは無縁だしさ、かわりににじみでてくるのは性欲と強要なわけで、そのへんのところはおれたちもじうぶんわかってたからさ、話しこんでてもボロがでなさそうな、いうなればブンソーオーな女の子ばっかり声をかけてたわけ、いつもは。だけどさ、そのときばかりはそういうわけにはいかなくて、だってほら、せっかくトモあり遠方よりヤリにきたるたのしからずやなわけで、だからおれたちとしても「これが東京の女だ!」みたいな女とやらしてやりたいわけよ。だってイバラギからはるばる新宿にヤリにきたのにさ、千葉県立印旛沼高校二年泡祭クマ子家業はハス農家です今夜はじめてディスコにデビューしましたあなんてのをあてがっちゃうとさ、それだったらわざわざ新宿くる必要もなくて、イバラギでブラックエンペラーの集会で女の子調達してきたって大差ないわけだし、そういうのがあったからおれたちもいつもよりはりきってはげんだんだけどさ、だめなのよこれがなかなか。そうおもってしみじみあたりをみまわしてもね、そういういい女ってのがなかなかいないわけ。まああたりまえといえばあたりまえの話で、そういうのがそんなイナカ者ばっかりあつまってる歌舞伎町のディスコなんてくるわきゃないのよ。まあもしいたとしてもおれたちがうまくたらしこめたかどうかはなはだギモンだけどさ。それでもおれと沖山にもミエつうものはあるからさ、しょうがないから常連のレイコさんていうお姉さん誘っちゃったわけ。ほんとは常連のひとを誘うと、あとでめんどくさいことになったりするばあいがあるからなるべくそういうのは避けるようにしてたんだけど、うん、おれたちもそういうことだけはアタマはたらくからさ、さけてたんだけど、でもそのときはそんなこともいってらんなかったわけね。レイコさんはおれたちよりちょっととしうえでさ、サーファーのかっこをしてたひとなんだけど、まあみためはかっこよくてイバラギにはいなそうだし、いかにも東京っぽくてこれだったらハメノもよろこぶんじゃないかとおもってさ。レイコさんを誘ってよったりで沖山のアパートに帰ったのね。ヤリに。
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