|
気があえばやらしてくれるっつう評判があって、そういうの聞いてたから沖山もおれも誘ったわけなんだけど、もう立場的にはぜったいむこうのほうが上なわけで、っていったいどういう立場なのかよくわかんないけど、そういうところに通ってるちゃらちゃらした連中のあいだでもいちおうそれなりのランクつうものがあるわけよ。遊んでれば遊んでるほどエライのね。その遊びもめちゃくちゃだったらめちゃくちゃなほどエライわけ。破滅的に遊んでるひとがいちばんエライわけ。そんなのいったいなにがエライんだと聞かれてもこまるんだけどさ、いちおうそういう共通の認識があるわけよ、そういうにんげんのあいだでは。そんで、レイコさんはもうなんでもアリの遊びにんなわけで、といってもどういう遊びをしてきたのかはしらないけどさ、なんていうかなあ、遊びの年輪ていうの、もう、カンロクとかがちがうのよ。腰のはいりかたがちがうわけね。だいたいおれたち3人はレイコさんとやるために沖山のアパートにつれてきたわけで、レイコさんもそういうのは百も承知なわけなんだけどぜんぜんどうじてないのね。ふつうにしちゃってるわけよ。なんかそれだけもう格がちがうかんじでさ、まあ沖山もおれもいつもの調子でシタゴコロなんてまるでありませんぼくたちさわやか好青年ですみたいに装って冗談いったりするんだけどさ、なんかもう、ダメなの。みすかされちゃってるみたいな感じでさ、シタゴコロね、みすかされててさ、こりゃいつもみたいなふうにはイカンぞっておれたちも覚悟きめてね、やっぱりむこうのほうがエライんだからちゃんと敬意をはらってともだちにさせてもらうつもりでさ、胸をはだけるつうの、ようするにシミジミと本音でたちむかわなきゃダメだっていうのがわかって、じつは浪人してるんだとかおれんちはじつは農家やってんだとかそういう話をしてたらうちとけることができちゃってさ、いつもとはちがって、肉体だけじゃない、精神的にも充足したひとときをすごすことができたのよ。沖山とおれはそんなふうにちょっとカットウとか作戦変更とかいろいろあってさ、やっとこさっとこレイコさんと立場のちがいを気にせずにうちとけられたときはほっとしたもんなんだけど、ハメノはもうそんなのはじめからおかまいなしでさ、そりゃまあイバラギじゃあましみかけない女をうまくつれこめた流通経済大学1年ハメノメドル十九歳生きててよかった冬の陣なんだから舞いあがっちゃう気もちもわからないんじゃないんだけど、それにしてもいい気になっちゃってるわけ。酒もけっこうまわっててほんと最悪の冗談しかいわなくなっちゃってるわナマリまるだしでひとりでしゃべってひとりでわらうわ、どうしようもなくなっっちゃってるんだけど、レイコさんがまたエライからしっかり相手しててさ、それどころかなんだかハメノのことを気にいっちゃってるみたいなわけよ。会話のあいまに「オレ、なまってっか? なまってっか?」とかハメノがイバラギのイントネーションまるだしでレイコさんにたずねてて、おれと沖山はこころのなかで声をそろえて「なまってるよこのばかやろう」ってこたえてたんだけど、レイコさんはげらげらわらいながら「ううん、ぜんぜんなまってないよ」ってこたえるわけ。それをまたハメノが本気にしちゃって、「オレ、なまっていめ、なまっていめ、うかかか」って満足そうにわらうんだけど、それがまたおもいっきりなまっててさ、わらいかたまでなまってて、おれなんかもう聞いてるだけでアタマかかえちゃったよ。おまけにそのあとハメノはイバラギに帰ってみんなに「オレ、トーキョーの女になまってねっていわれちったがんなウケケ」って吹聴してたみたいでさ、このときばかりはおれ、ほんと、つくづくおれたちのよのなかっていうのは誤解とおもいあがりでなりたってるとおもったね。だいたいレイコさんていうのもじつは三重のお茶農家の娘でさ、‥‥ああ、とつぜんだけど書いててくたびれてきたから今夜の通信はこれでおしまい。
|