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→大学生のときの冬、そのころすきだった女の子が入院した。いやほんとうはすきというほどではなくて、たんなるともだちの女の子だったんだけど、入院したとたんに「ああおれは彼女がすきだったのだ」と気がついた。たぶん入院したときいてすきだと思いこんでしまったのだといまではおもう。でもとうじのおれにはそんなところまであたまがまわらない。ともかく思いこんでしまったので、彼女に手紙をかくことにした。たぶん病院のベッドで退屈して、もしかしたらくらくなってるのかもしれない彼女を想像して、手紙をかいた。それはこんな文章だった。
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前略、青空は好きですか、おれは大好きです、だから好きになってください。 ☆
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マサオ
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→彼女からきた返事はただ一行、うす紫いろの便せんにこう書かれていた。
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桜が咲くまで待ちきれません。
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→その冬その一行はおれにとって勲章になった。 |
| [05,09,2000] |
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