[2000年2月13日] 修行中
にくじゃが。めし。(朝昼)
しょうが焼定食。ビール。(夕・外食)

●バンドの練習というのはおもに貸スタジオでやってるわけだけど、ここへいくとずいぶんいろいろな貼り紙がしてある。たいていはバンドのメンバー募集とライブの告知なんだけど、なかにはわけのわからないのもある。たとえば「入れ墨彫ります。当方、彫り師修行中につき、無料です」というのがあって、これはちょっとこわい。というか、だいたいこんなとこにだれがいくんだろう? 入れ墨といったらやっぱり一生モノなので、修行中の彫り師は遠慮したいよなあ。たとえ無料でも。それどころか、金をもらってもたのみたくない。だから修行中の彫り師というのは、そのことはかくしておかないと、いつまでたっても客はこないんじゃないかなあ。美容院とかだって、見習いのひとにはなるべくやってほしくないでしょ? おれはもう二十年くらいおなじヤツに髪の毛をきってもらってて、そいつは高校生のころからのともだちで、高校を卒業して美容師になったわけだけど、修行中のときにはずいぶんアタマを貸してあげた。とうぜんひどいアタマにされたこともなんどもある。でもそれは髪の毛だから、ほっとけばそのうちまたどうにでもなるから提供してたわけであって、これが入れ墨となるとそうはいかない。ほっときゃそのうち脱皮してまっさらのヒフになれるというひとはべつだけど、そういう人類はあまりいないとおもうので、やっぱり入れ墨師みならい中のひとの練習台というのは、かなりためらうモノはある。あとためらうのは医者とか看護婦のみならいのひとの練習台。たとえばういういしい看護婦さんというのは、みためにはかわいらしくっていいんだけど、そういうひとに注射をされたりすると、かなりこわいよね。しかもなんどもやり直されたりして、泣きたくなる。むこうもアオざめてるけど、こっちだってアオざめる。これが外科医の手術の初執刀とかだったりすると、メスを持つ手がふるえてたりすると、もう、病気なんてなおさなくていいからカンベンしてくださいってなっちゃうよね。でも、そんなこといってたらいつまでたっても医者が成長しないわけで、そのうちお医者さんが絶滅しちゃうから、それも都合がわるいわけで、だからやっぱり練習台っていうのは必要になるわけだけど、すくなくともそういうのはぜったいに練習台のひとにはさとられないようにしてほしいとおもう。いぜん妊娠して産婦人科にいったら、ほら、あの分娩台っていうの、しらないけど、あのアシをひろげてねかせられるダイがあるでしょ? ていうかおれもじっさいにみたことはないんでよくしらないんだけど、そういうのがあるらしくて、そのうえでアシをひろげてまってたら、インターンの学生をぞろぞろ連れた先生がはいってきて「ではみなさんここをみてください、ここがこうで、ここがこうなってて‥‥」と講義の見本にされてしまって「わたしはあの瞬間に人生をふっきったわ」と断言するひとがいて、それはひどいメにあったねと同情したものだけど、まあなるべくならそういう見本とか練習台とかにはなりたくないですね。

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