[2000年11月12日] たいしたことなかったです
たんめん(ひる)
わかめのみそしる(ゆう)

 みぎしたのおやしらずをぬいてきました。さんざんわたしを苦しめてくれたおやしらずでした。にくんでもにくみきれないおやしらずでした。これをぬいてきました。でも、話できいていたほどつらいものではなかったです。ぜんぜんたいしたことなかったです。ほんの一時間半ほどのがまんでした。そのあいだずうっとくちを全開にしていたので、そのあとこんどはくちがとじなくなってしまってちょっとこまったくらいです。あとはぜんぜんどうってことありませんでした。ただ、ぬきおわったあとに、ぬかれた歯はどんなんだろうとみてみると、たくさんあったのにはちょっとだけびっくりしました。おもわず勘定してみたところ、七つありました。一本のおやしらずを七つに分割してぬいてくれたんですね。あの、くちのおくでパキパキパキパキいってた音は、歯を割ってる音だったんですね。どうりでどうってことなかったはずです。あっというまにおわってしまったのもうなずけます。あと、もうひとつだけ、ほんのちょっとびびったのは、歯医者さんがトンカチをもちだしてきたことです。治療の椅子にすわってるあいだ、わたしはすっかりリラックスして目をとじていたのですが、いきなりガンガンガンガンと頭蓋骨にひびいてきた衝撃があって、なにごとかと目をあけると、ピンセットのさきを歯ぐきにあてて、それをとんかちでたたいている歯医者さんの鬼気迫る形相にはすこしだけびびりました。でもぜんぜん平気でした。しいてあげるなら、メスできった歯ぐきを縫う道具だけは、ちょっといただけないとおもいました。ラジペンみたいな道具で、さきっぽでパチンパチンと縫うみたいなんですが、わたしはぜんぜんへいちゃらでしたが、なかにはおっかながるひともいるんじゃないかとおもいます。わたしはそんな、歯ぐきを縫われるなんて、ぜんぜんなんともないんですけど。あと、抜いたあとさらに痛むというのも、それじゃ話がちがうじゃないかとちょっとだけおもいました。そのあとはわたしは麻雀にさそわれてて、抜歯のあと知人宅に直行したんですが、その知人は鉄砲が趣味で先週北海道にいってきたばかりで、シカのお刺身だとかイノシシの薫製だとかカモナベだとかキジめしだとかイワナだとかカニだとかいろいろあったんですが、ほとんどたべられませんでした。わざわざ薫製をわたしにすすめてくれて、たべなよ、かめばかむほどおいしいよ、とやさしい言葉をかけてくれるひとがいて、そのやさしさにすこしだけ目になみだがうかびました。でも、ぜんぜんどうってことありません。ぜんぜんふてくされてなんかいません。たいへんすがすがしい気ぶんで今夜ははやめにさっさと床にはいります。みなさんごきげんよう。

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