| [2001年02月05日] 無限食欲 |
| 菓子パン(あさ) そば。五目ごはん(ひる) てんぷら。大根おろし。アスパラガス。めし(ゆう) |
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●ちょっとまえなんだけど、しりあいの女の子が「わたしもう、仕事にいきたくない」とうちあけてきた。どうして、とたずねると「こわい」のだという。「こわい新入社員がはいってきた」のだという。職場に新入社員の女の子が配属されてきて、礼儀ただしく挨拶もしっかりするし、仕事ぶりだってきちんとしてるんだけど、ただ、こわいんだという。なにがこわいかというと、食うのだという。大量に。ひたすらに。もくもくと。えんえんと。こわいほどに。そう、はじめはわらってみていた周囲のひとたちも、だんだんおっかなくなってきてしまうくらいに食うのだという。たとえばある日の彼女のおひるごはんは、スパゲティーを300グラム、それからミニおにぎりを八個、それからカップラーメン、それからロールパンを一袋、それからやきそば、というかんじで、えんえんと食いつづけ、それも炭水化物ばかりをえんえんと食いつづけ、彼女が食事をやめるのはけして満腹になったからでなく、たぶんこんなものだろう、でももうちょっと食べておこうかな、いややっぱりやめとこうかなと迷いながら、クビをひねりながらやめるのだという。しかもそれはその日だけのことではなく、毎日なのだという。おまけにそれはおひるごはんだけの話でなく、彼女がいうには、あさもばんもおなじくらいにたべるのだという。そして、ああ神よ、彼女は十時にも三時にもなにか食べるのだという。たしかにそれは尋常ではない。そもそも、周囲のひとを恐怖させてしまう食欲というのは、ただごとではない。そういえばすごくいぜん、ナンシー関が週刊文春の連載で、ひとを恐怖させる食欲についてなにかかいていた。しんからひとを恐怖させるのは、いっぺんに大量に食べることではなく、たとえすこしずつであろうともえんえんと無限に食べつづけることだ、とかいう話だった。それはたしかにこわいかもしれないなと、そのときはわらいながらよんだけど、じっさいにそういうひとが身のまわりにいるとしったのははじめてのことだ。ほんとうに人間はものを食べることで他人を恐怖させることができるらしい。やがてはひれふさせてしまうことさえできるらしい。食事というものはああみえて、意外な可能性をひめていたらしい。そんなわけで彼女は、新人がおうおうにして体験するような先輩からのいじめなどまるでなく、それどころかまわりから一目おかれていて、雑用にこきつかわれたりすることもいっさいないそうです。これから社会にすだってゆくわかものたちよ。ものはためしだ、胃袋をきたえておきたまえ。とムリヤリまとめてきょうの話はこれでおしまい。ぽいうぽいう。 |
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