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みなさんこんばんは。「ささいなヒミツくん」の時間です。さ、きょうはどんなヒミツくんがきてくれたのでしょうか。ごしょうかいしましょう。ヒミツくん、どうぞ。
「こんばんは。ヒミツです。どもども」
あなたはいつごろのヒミツくんですか。
「ヒミツです」
いやそうじゃなくて、ヒミツをあかす時間なんですから、おしえてくれないとこまります。
「ほんというと、きのうです」
おお。これはまた、ついさいきんですね。どんなヒミツなんでしょう。さっそくおしえてください。
「えと、ひるやすみに携帯がかかってきて」
をををををっ。携帯がっ。
「‥それってそんなおどろくようなことですか?」
いや、いちおうもりあげてみようかとおもって。話のコシをおっちゃいました? すいません。つづけてください。
「はあ。携帯がかかってきて、でてみると、女のひとのこえがしました。『もしもし。わたしです。あの。きょう、あってもらえますか?』っていうんです。ぼくがとまどってると、『あの。あの。き、きょうもあってもらえませんか?』って哀願するみたいにいうんです。彼女のくちょうがあんまりいじらしくて、おまけにとりみだしてるみたいなのがせつせつとつたわってきて、ぼく、ことわれなくなってしまいました」
なるほど、ううむ、それはことわれませんね。で、それから?
「ぼくが『いいよ。あおうよ』と返事をすると、『じゃああの、また、桜木町でいいですか?』って彼女がきいてきました。『いいけど、でも、こっからだとちょっととおいなあ』とこたえると、『なんじだったらだいじょうぶですか。わたし、なんじでもいいです』と彼女がいうので『う〜ん。九時くらいかなあ』とこたえました。すると彼女は『じゃ九時に、まってます』といいました。『はいよはいよ』と元気にこたえて、ぼくは電話をきりました」
さあそしてここからが話の核心ですねっ? あなたのヒミツはいったいなんなのでしょうっ? いったい桜木町で、なにがあったんですかっ?
「なんにもありません」
は?
「なんにもないです。だって、いきませんでした。竜ヶ崎のやるき茶屋でビールのんでました」
それはまた、どうして?
「桜木町のどこにいったらいいかわからなかったからです」
‥‥いってる意味がよくわかりませんが?
「まちがい電話だったとおもうんです」
へ?
「なんか、だれかとまちがえてるみたいで。ぼく、ぜんぜんそんなひとしりません。だいたい桜木町っていうのはどこですか? しらないけど、とにかく、いかなくてごめんね。でもね、きみも番号はしみじみたしかめてから電話しなくちゃだめだよ。だってほら、ぼくみたいな」
あ、もうけっこうです。ひっこんでください。ええと、そういうわけできょうのヒミツくんの時間をこれでおわります。またそのうちヒミツくんがでしゃばりたくなったらやるかもしれません。でも、それがいつなのかは、もちろんヒミツです。ではごきげんようさようなら。ぽいうぽいう。
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