[2001年03月13日] 所詮
菓子パン(あさ)
メンチカツ定食(ひる)
すきやき。きむち。なめたけ(ばん)

●せんじつちょっと話をした女の子がいて、彼女によると、男なんてどんなにカッコよくたってたかがしれてるんだそうである。かつて彼女の職場にすごくいい男が配属されてきたことがあって、身長もあるし笑顔もさわやかだし動作もキビキビしていて仕事もできる、そういう若手の独身男がきちゃったものだからフロアーの女の子たちはいろめきたって、かれは女の子たちのあいだでスター的な存在になり、彼女もひそかにあこがれてたんだそうである。彼女にはカレシがいるんだけども、それはそれとしてあこがれてたんだそうである。そんなある日、あこがれの彼がなにかの用件で彼女のところにやってきた。彼女はどきどきしながら彼と話をしたんだけども、ところがそのとき、彼の鼻から鼻毛が一本だけとびだしてるのに気づいた。しかし彼はぜんぜんわかっていなくて、まじめな顔で話しかけてくる。どうももともとが完璧な男前なだけに、こういうばあい、かえってそれがアダとなって、その落差のあまりの激しさに彼女はどうしてもわらいがこらえられない。むりにこらえようとはするんだけど、彼がなにかいうたびに、うぷぷぷっとふきだしそうになってしまう。これはまずいと判断して彼女は、すみません、ちょっと失礼しますと席をはずして、トイレにいっておもいきりわらうことにした。そこで気がすむまでわらって落ち着きをとりもどし、もうこれなら大丈夫、だいたい鼻毛くらいなんだっていうのよ、どうってことないじゃないとじぶんにいいきかせて席にもどると、事態は悪化していたのだった。いったいなんのつもりなのか、彼のとびだした鼻毛はそもそもカールしていたんだけど、それがもう一方の鼻の穴にスポっとおさまっていた。ちょうど牛の鼻輪みたいな状態になっていたんだそうである。これをみた瞬間、彼女は爆笑した。彼女のアタマからはすべてが消え、ただ爆笑するしかなかった。彼の鼻輪をゆびさして。そうしてそれいらい、彼女のアタマにはこの鼻輪状態になった彼の顔がすりこまれてしまって、彼の顔をみるたびにふきださずにはいられなくなってしまった。んだそうである。「男なんてねえ、どんなにカッコよくみえたって、たかがしれてるものよ。どんないい男っつったって、しょせん鼻毛の一本で崩れるものよ」と最後にそういって彼女は話を締めくくった。そ、それが結論なのか? きみがこのユニークな体験を通してえた教訓は、けっきょくそれなのか? とおれはおもったが、たしかにその教訓の正当性もあるていどは認めないわけにはいかなかった。鼻毛。男前のじんせいのすべてを一瞬で崩壊させてしまうこともあるらしい。鼻毛。たしかにそれはせいぜい十数ミリの黒い線にしかすぎない。だが、そこにはおれたちの想像を絶する破壊力が秘められている。らしい。

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