[2001年5月21日] ドゥ
菓子パン(あさ)
ハンバーグ定食(ひる)
ハンバーグ定食(ゆう‥‥し、しまった)

ときどき話をする中学生の女の子がいるんだけど、彼女はゴビに「みょん」だとか「にょん」だとか「ぴょん」だとかわけのわからない音をもちいる。「あしたから修学旅行いくんだみょ〜ん」とか「こないだのテストはぜんぜんだめだったにょ〜ん」とか、そんなかんじである。さいしょにこれをきいたときはけっこうあぜんとした。五秒くらい呆然として、それから、その「みょん」ていうのはなんのつもりかとたずねると、「意味なんかないみょ〜〜〜んっっ」とおもいきりこたえられてしまった。だいたい女の子というのはこれくらいから男をおちょくるというか、もてあそぶ技というのをえとくしはじめるものならしい。それってじぶんでしゃべっててヘンだとおもわないか、とたずねると、ぜんぜんヘンじゃないみょん、「ぺ」をつけるほうがヘンだみょん、と彼女がすましていうので、ますますショックをうけてしまった。たしかにいわれてみると「ぺ」はオッケーで「みょん」はいかんというのは理屈にあわん気はする。「みょん」をゆるさんというのなら、「ぺ」もゆるしてはいかんはずである。それはたしかに道理だ。しかしたとえ道理であってもおれにはどうしようもない。そう、なにをかくそうおれは茨城にえんえんとへばりついていきてきてしまったので、ちょっとでも気をぬくとすぐゴビに「ぺ」がでてしまうにんげんなのだ。たとえふだんどんなに注意していたとしても、なにかせっぱつまったときなどは、たとえば「そ、そんなに腰をうごかされたらもうガマンできねえべっ」とかいうふうに、ごく自然にくちをついてでてしまう。そういうからだになってしまっているのだ。しかしほんとに「ぺ」は「みょん」とおんなじなんだろうか。ハタできいているひとにとっては、「ぺ」も「みょん」も大差ないのだろうか。だとしたらなんだかじぶんでじぶんがゆるせなくて、ちょっとこまってしまった。個人的には「みょん」と「ぺ」はちがうんじゃないかとおもうんだけど、「ぺ」はぜんぜんオッケーなんじゃないかとしんじたいんだけど、これはたんにおれが茨城男だからなのだろうか。わからない。でも、でも、「ダドゥ」よりはましだよね。いやいぜんほんとにそういうやつがいたんだよ。学生のときなんだけど、キャンパス誌っていうのかな、ほらミニコミ誌とかをつくるサークルにはいってるともだちがいて、取材でアイドルタレントの女の子をインタビューしにいくことになったんだけどおまえもこない? とかさそわれて、「うををっ」とよろこんでいそいそとついてったことがある。名まえなんてわすれちゃったのでここではそのアイドルを千鳥格子ちゃんということにして話をすすめると、この格子ちゃんもまぢかでみるとあっけにとられるくらいきれいな女の子だったんだけど、さいしょにともだちが「こんにちは、あなたが千鳥格子ちゃんですね?」とたずねると「そうダドゥ」と平然とこたえられて、ともだちとふたりで瞬間的に魂をぬきとられてしまった。それは十六歳かそれくらいの女の子で、いくらタレントといったってそんな女の子になめられるわけにもいかないのでこっちもがんばってインタビューをすすめるんだけど、なにをたずねてもかならずさいごに「ダドゥ」がついて、そのたんびに魂をぬきとられてしまう。むこうが「ダドゥ」というたびにおれたちは「‥‥‥。」というかんじで、あたまのなかがまっしろになってしまって、ぜんぜん会話がなりたっていかなくて、そんなこんなでけっきょく完敗してしまった。ばかげてるほど目のぱっちりした女の子で、ぱっちりした目で「ダドゥ」とかいわれてしまったら、これは勝てるわけがない。ここでおれはしみじみとおもうんだけど、そういえばあれくらいの女の子っていうのはなにをかんがえてるかわからなくて、けっこう強力だよね。おれだって十六のころはやっぱりそういうのを相手にたたかってたわけで、かんがえてみるとよくやったよなあ。えらいえらい。と、じぶんでじぶんの健闘をたたえてほんじつの話はおわり。

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