[2002年03月13日] 列
カレーうどん(ひる)
エビフライ。めし(ゆう)

晴海で手帳配りのアルバイトをしたことがある。ある会社の社名のはいったこぶりの手帳を道ゆくひとに配るというバイトだ。ともだちとふたりでやったんだけど、ところが、このともだちというのがめっぽうはやい。おれの数倍のいきおいでどんどん手帳を配ってしまう。不審におもってようすをみにいくと、かれは、往来で、道ゆくひとたちに行列をつくらせていたのだった。どうもにんげんというのは列があるとわけもわからずならんでしまうという習性があるらしくて、通行人はあしをとめ、おとなしく列にくわわっていく。なんの列なのかはわからないが、みんながならぶのだからじぶんもならばなければならないのだろうと勝手に解釈しているようだ。あとはこの羊たちの先頭からじゅんばんに毛を刈るのみである。ちがう。手帳をくばるのみである。なにしろ往来をゆくひとの全員にもれなくくばってしまえるのだから、「よろしかったらどうぞ」なんて人々の自由意志にまかせて手渡すやりかたなど問題にならない。さっそくおれもその列の先頭に合流して、いっしょに毛を刈ることにした。ちがう。くばることにした。あっというまにノルマを達成しおえて、休憩をしながら、でも、どうやってさいしょに行列をつくらせたのだろうとふしぎになった。それでたずねると、「ここにならんでください、といっただけだよ」とそいつはわらった。

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