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→ちかごろの結婚式の引き出物というのは商品カタログの小冊子をわたして、どうぞおすきなものをえらんでくださいというふうにするのが主流なみたいである。たしかにそれならそれぞれがそれぞれに必要なものをえらべるし、もってかえるのにもらくだし、なにもかもいいことづくめで、そんなわけでうちもそれにしてしまったんだけど、どうせならもっととんでもないものを問答無用でもってかえらせてやりゃよかったかなといまになっておもう。
→これまで出席した結婚披露宴の引き出物でいちばん印象にのこっているのは壺である。それも重たくて巨大なやつである。友人の結婚式で、有無をいわせずにこれをもちかえらされたのであった。たしかに壺というのは縄文時代のむかしからじんるいが重宝してきた道具ではあるが、しかし、二十一世紀のいまとなっては、いったいなににつかったらいいのかわからないものでもある。とりあえずおもいつくのは、これをひっつかんでだれかの背後にしのびより、おもいきり後頭部にたたきつけて殺害するという使用法だが、さしあたっておれには殺害しておきたいひともいないし、もちろんだれからも殺害されたくないし、かといってほかに適切な用途もみあたらなくて、「なんて厄介なものをくれたんだ」とうらみたくなった。この壺は列席した友人一同にひとしく衝撃をあたえたらしくて、このときの話となるとまっさきにこの引き出物のことがでてくる。「あれは重かった」とか、「なんのつもりだったのか」といった不平不満をみんなでもらしたあとに、おかしくなってきて、みんなでわらいだすことになっている。どうせだからおれもこの友人をみならって、なにか重たいものを引き出物にしといてやればよかったなとおもう。家庭用金庫とか。大阪から茨城まで金庫をもたしてかえらせたらみんなおこっただろうなあ。うははは。ってなんだかきのうから重たいものの話ばかりしてるな。どうもこの結婚については、重たいおもいをなんどもしたのがよほどおれにとって印象にのこっているらしい。みんなにもこの苦労をすこしでもあじあわせてやれとこころの底でおもっているらしい。
→ところでおれの結婚式から一週間後にしりあいの女の子の結婚式があって、それによばれていってきたんだけど、引き出物はケーキ皿と食卓におく回転式の調味料の台でした。どちらもなかなか役にたっている。結婚式の引き出物で役にたつものをもらったのって、これがはじめてのような気がする。
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